着物のたたみ方について、こんな疑問を持って調べていませんか。せっかくの着物も、たたみ方や保管方法を間違えるとシワや型崩れ、カビの原因になってしまいます。
- 着物を着たあと、どうたためばいいのかわからない
- 正しく収納しないと傷んでしまわないか心配
この記事では、着物の基本のたたみ方「本たたみ」の手順と、たたむ前の下準備、収納するときの注意点、長期保管でのお手入れまでまとめました。
着物のたたみ方は本たたみが基本
着物のたたみ方には数種類ありますが、最も基本となるのが「本たたみ」です。縫い目に沿ってたたむことでシワがつきにくく、収納時にも型崩れしにくいのが特徴です。
本たたみは着物・羽織など多くの和装品に共通して使える方法のため、まずこの手順を覚えておくと応用が利きます。振袖のように袖が長く柄の多い着物では、本たたみを応用した「袖たたみ」で先に袖部分だけを整えてから本たたみに入るなど、部分的にアレンジされることもあります。基本の手順を押さえておけば、こうした応用にも対応しやすくなります。
着物をたたむ前にしておきたい下準備
着用後の着物は、汗や湿気を含んだ状態になっています。すぐにたたんで収納すると、湿気が生地に閉じ込められてカビやシミの原因になることがあるため、まずはハンガーにかけて1〜2時間ほど陰干しし、湿気を飛ばしてから作業を始めます。
陰干しのあとは、柔らかいブラシや乾いたタオルで表面のホコリを軽く払っておくと、収納中にホコリが生地に定着するのを防げます。食べこぼしや汗じみなど気になる汚れがある場合は、たたむ前に確認しておき、シミが乾かないうちに専門店へ相談すると落としやすくなります。
着物の本たたみの手順
着物を平らな場所に広げ、両側の衿を中心で合わせるように整える。
下前(内側になる身頃)を脇の縫い目に沿って手前に折る。
上前(外側になる身頃)を同じく脇縫いで折り、下前の上に重ねる。衿の形が崩れないよう軽く整える。
両袖を袖付け(身頃と袖の縫い目)で内側に折り返し、身頃の上に重ねる。
全体を縦半分に折りたたみ、たとう紙(和装用の収納紙)のサイズに合わせる。
手順自体はシンプルですが、衿や袖の折り目を縫い目に正確に合わせることが、シワを残さないための最大のポイントです。
着物を収納するときの注意点
たとう紙に包んで保管する
たたんだ着物は、そのまま収納せず「たとう紙」と呼ばれる和紙製の包み紙に入れて保管します。生地を湿気や摩擦から守り、通気性も確保できるため、着物専用の収納には欠かせないアイテムです。
たとう紙は使い続けると湿気を吸って傷んでくるため、数年に一度を目安に交換するとよいとされています。紙の色が黄ばんできた、湿った手触りになってきたといった変化は、交換のタイミングを見極めるサインの1つです。1枚のたとう紙に複数枚の着物を重ねて包むと型崩れの原因になるため、基本的には1枚ずつ包むようにします。
湿気・防虫対策をする
着物は湿気によるカビや、虫食いのリスクがある衣類です。桐たんすは調湿性が高く着物の収納に向いているとされていますが、一般的なクローゼットや衣装ケースでも、除湿剤・防虫剤を併用すれば保管できます。
ただし防虫剤は異なる種類を同時に使うと化学反応でシミの原因になることがあるため、1種類に統一するのが基本です。除湿剤は湿気を吸うと効果が薄れていくため、パッケージに記載された使用期限や交換の目安を確認し、定期的に取り替えることも忘れないようにします。
防虫剤は種類を混在させず、必ず同じ成分のものだけを使うようにしましょう。
収納する順番・重ね方
複数の着物を重ねて収納する場合は、着用頻度の高いものを上に、あまり着ないものを下に置くと出し入れがしやすくなります。重い着物を軽い着物の上に重ねると、下の着物にシワがつきやすくなるため、金糸・銀糸を多く使った重めの礼装は下段に、普段着の小紋や紬は上段に置くといった工夫も有効です。
引き出しに何枚も重ねる場合は、一度にすべてを取り出さなくても済むよう、季節や着る頻度でグループ分けしておくと管理がしやすくなります。
着物を長期保管するときの虫干し・お手入れ
着物は一度収納したら終わりではなく、定期的に状態を確認する「虫干し」という習慣が古くからあります。湿気の少ない晴れた日を選び、着物をたとう紙から出してハンガーにかけ、数時間風を通すことで、収納中にこもった湿気を飛ばし、カビや虫食いの兆候を早期に見つけやすくなります。
虫干しの目安は年に1〜2回、梅雨明けや秋の乾燥した時期など湿度の低いタイミングが向いているとされています。虫干しのついでに、シミやカビ、虫食いの跡がないかを1枚ずつ確認しておくと、早い段階で専門店にクリーニングや補修を相談でき、被害が広がるのを防げます。直射日光に長時間当てると生地が変色することがあるため、風通しのよい室内や日陰で行うのが基本です。
着物の素材によるたたみ方・収納の注意点
着物の生地には、絹(正絹)・木綿・化繊(ポリエステルなど)といった種類があり、素材によってたたみ方や収納時の注意点が少しずつ異なります。正絹の着物はシワになりやすく摩擦にも弱いため、本たたみの際に折り目をきつく押しつけすぎないよう、優しく整える程度にとどめます。
木綿や化繊の着物は正絹に比べて丈夫でシワになりにくいため、扱いやすい素材といえますが、湿気を吸いにくい化繊は生地の内側にカビが発生しにくい一方、静電気でホコリを吸着しやすいという特徴もあります。収納前にブラッシングでホコリを払っておくと、化繊特有の汚れの蓄積を防げます。素材が分からない場合は、購入時やレンタル時の表示・タグを確認しておくと、その後のお手入れの判断がしやすくなります。
木綿の着物は水に強く自宅で手洗いできるものもありますが、正絹は自己判断で洗わず、必ず着物専門のクリーニング(丸洗い・洗い張りなど)に出すのが基本です。収納前の時点で素材ごとの特性を把握しておくと、日々の扱いに迷わずに済みます。レンタル品の場合も素材によって返却前の扱いが異なることがあるため、案内をよく確認しておくと安心です。
着物のたたみ方・収納に関するよくある質問
- レンタルの着物もたたんで返す必要がありますか
-
店舗によって異なります。専用の袋に入れるだけでよい場合と、簡単にたたんでから返却する場合があるため、レンタル時の案内を確認してください。
- たとう紙がない場合はどうすればいいですか
-
一時的な保管であれば清潔な木綿の風呂敷などで代用できますが、長期保管する場合はたとう紙を用意することをおすすめします。
- 着物は年に何回くらい虫干し(風通し)すればいいですか
-
湿気の少ない晴れた日を選んで、年に1〜2回程度風を通すとよいとされています。しまいっぱなしにせず、たまに状態を確認する習慣をつけると傷みに気づきやすくなります。
- たたむ前に着物が汗ばんでいた場合はどうすればいいですか
-
すぐにたたまず、ハンガーにかけて1〜2時間ほど陰干しし、湿気を飛ばしてからたたむようにしましょう。湿ったまま収納すると、カビやシミの原因になります。
- 複数の着物を重ねて収納しても問題ありませんか
-
重ねること自体は問題ありませんが、重いものを軽いものの上に置くとシワの原因になります。重めの礼装は下段に、普段着は上段に置くとバランスが取りやすくなります。
- ポリエステルの着物も同じようにたたんで収納すればいいですか
-
基本の本たたみの手順は同じですが、化繊は静電気でホコリを吸着しやすいため、収納前にブラッシングでホコリを払っておくとよいでしょう。正絹に比べてシワや型崩れには強い素材です。
まとめ
着物のたたみ方は、縫い目に沿ってたたむ「本たたみ」が基本です。たたむ前には陰干しで湿気を飛ばし、たたんだあとはたとう紙に包み、湿気・防虫対策をした状態で保管することで、着物を長く良い状態で保てます。
収納して終わりにせず、年に1〜2回の虫干しで状態を確認する習慣をつけておくと、シミやカビ、虫食いといったトラブルにも早めに気づけます。素材によって注意点が異なる部分もあるため、正絹・木綿・化繊のどれに該当するかを把握しておくと、日々のお手入れの判断にも迷いにくくなります。
手順を1つずつ丁寧に行う習慣をつけておけば、大切な着物を長い年月にわたって美しい状態のまま楽しみ続けられます。
※本記事の情報は2026年8月時点のものです。
コメント